Monthly Archives: 8月 2024

速見是水 -大正初期の女流薩摩琵琶奏者-

速見是水 (はやみしすい1905-1981)大正期の錦心流で当時ナンバーワンと称された女流演奏家、 明治38年北海道札幌市出身、7歳で柴田蜂鶴に薩摩琵琶の手ほどきを受け、11歳で錦心流の名手野村潮水師に入門、13歳まで一 […]

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柳澤玉水 -女錦心と呼ばれた初代玉水-

柳澤玉水(やなぎさわぎょくすい1895-1917) 明治28年東京生まれ、本名柳澤かね子。最初横山皐正に師事、15歳で教授所を開く。その後永田錦心の門に入り皆伝を与えられる。弾法や吟の巧妙さに定評があり周囲から女錦心との […]

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筑前琵琶 豊田旭穣 -琵琶界の女王-

豊田旭穣(とよだきょくじょう1891-1929)筑前琵琶奏者、本名豊田静枝とよだしずえ。広島出身、母親の影響で筑前琵琶を始め12歳の時一家で福岡に移り住み橘旭翁宗家と安倍旭洲両師に師事、明治41年居を東京に移し、以降全国 […]

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びわ師錦穣 第十二話 水藤家

「今日から俺の事はおとうさまと呼びなさい」「はい」 「人の前では余計な事は言わず、いつも黙ってなさい、返事はハイだ」「はい」 「家事、手伝いの類いは一切しなくて良い、料理などもってのほかだ、刃物や先の尖ったものには近づい […]

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びわ師錦穣 第十一話 門出

大正14年2月吉日、枝水はタクシーの座席で腕を組みながら考えていた。 琵琶は舐められたら終わりだ。力ずくは俺の最も得意とするところだ。だがしかしこれからは違う、力より革新的な才能がものいう時代になった。大先生永田錦心はそ […]

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コラム① 大衆芸能としての琵琶と琵琶ゴロ

ここで少し本編とは外れるのだが、東京で流行った琵琶楽の歴史と、それにまつわる闇部分である琵琶ゴロに触れておきたい。 琵琶楽の、特に薩摩琵琶は九州薩摩武士の精神修養として受け継がれてきたという歴史がある。琵琶は古来貴人やも […]

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びわ師錦穣 第十話 縁談

母の死により大黒柱を失った中村家の生活は大きく変わらざるを得なかった。とりわけ影響が大きかったのは冨美である。学費が払えないので佐藤高女は続けられない。冨美は小学校時代の担任に相談して高等科に編入出来るよう頼んだ。琵琶も […]

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びわ師錦穣 第九話 死別

一晩経って、地震が未曾有の大災害だということが分かった。特に多くの人々が避難した横網の被服工廠跡地は遺体と瓦礫があふれ、長峰さん一家を含め旧知の多くが帰らぬ人となった。町は本所といわず浅草といわずその惨状を晒し、帝都が復 […]

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びわ師錦穣 第八話 大震災

大正12年9月1日土曜日 この日学校はお休み、冨美は朝から家の二階で琵琶の稽古。母は午後から用事があるというので身支度をしていた、丸髷を結う母くら。 「お義母さん留守番をお願いします、お姉さんたちも頼んだわよ。お母さん仕 […]

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びわ師錦穣 第七話 未来予想図

それからしばらく中村家は平穏な日々が続いた。次兄が逓信省で働き始めたり、妹たちが家事を手伝えるようになったり、賑やかな一家団欒があふれた。長兄清一は禹水という雅号で始めた琵琶指南所が好評で。妹の倭水(冨美)と共同の看板を […]

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