伊集院流 望月唖江

白林と望月唖江師 昭和44年5月 静岡にて

薩摩琵琶、伊集院流の望月唖江師は琵琶の達人。刈り込んだ髪に着流しという渡世人のような出で立ち、竹を割ったような名調子が語るそのエピソードは各々諸先生方が強くご記憶に留めておられる通りです。漢詩に強く書は達人、琵琶歌の作詞もなさっています。

昭和44年の春、錦穣先生と我々親子が望月唖江師と静岡の森鶴堂師主宰の赤心会に招かれた際、私の吟ずる”金剛石”に唖江師が絃を弾いてくださったことがありました。「おう、坊んがやるんなら俺が弾いてやるよ」と、急な申し出ででしたが、薩摩琵琶は一の糸だけ弾けばなんとかなるからと打ち合わせなしのぶっつけ本番で颯爽と撥さばきを披露する唖江師でした。

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