弾法の役目
前段にも述べたとおり、弾法は女房である。女房は奥方ともいうし、内室とも、内賓ともいうから、何でも奥の方の係違いない。
ところが弾法の得意な人は、往々にして亭主役たる歌をして立場を失わしめるような弾き方をする。これは理屈抜きに歌を弾き殺すものである。
歌殺し
古くから琵琶界のことを知っている人達はご存じのことと思うが、一頃の正派の人達の言葉を聞くと、大概は他流の人達に対しての弾法自慢であった。この自慢心が他流の人達と一緒に出演した場合に弾法自慢で弾きすぎて、歌詞を支離滅裂にし、また歌の気分を破壊してしまった。それから同流の人と一緒に出演する場合は競争的に弾いてこれまたメチャクチャにする。殊に掛け合いなどの時は一層この醜体を演出するのが通例であった。
琵琶以外でも、三味線などについて観るのに、弾く人は常に歌い手を引き立てるように引き立てるようにと努力しているが、決して歌を無視していない。いわんや歌を殺すことに於いておやである。
また歌い手の方では弾き手を頼む場合は「あの人とは息がよく合う」ということを条件として頼む。もちろん弾く事の上手ということも条件の一つではあるが、その他に「息が合う」ということを重大用件としている。これらのことを考えると諸君は釈然たるものがあるだろうと思う。
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悪妻は六十年の不作なり
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悪しき妻は、夫を破船の難に陥らしむ
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快活なる妻は一生を楽しくす
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良妻は家の宝なり