本書は、大正11年[1922]8月に刊行された登文閣「現代琵琶人名録」巻末に附した寄稿文です。執筆は主任編集者の小室汀月氏、人名録そのものが約千名を網羅した圧巻たる取材内容なのですが、本書はそれに附するにふさわしき詳細な歴史的記述が書かれています。決して読みやすい文章とは言えませんが、当時の琵琶人だけが知りうる貴重な記述であり、僭越ながら仮名使いを現代語に直して読みやすくしてここに不定期連載させていただきます。先の吉村岳城先生の「琵琶新聞」同様、ご愛読していただけたら幸いです。 文責 藤波白林
※長文のため各項目分割しての公開となります、ご了承下さい。
第一章 はしがき
第二章 薩の国境を出で
第三章 御前弾奏の嚆矢
第四章 薩派ようやく陣容成る
第五章 演芸界に立脚した高峰琵琶
第六章 錦心永田君と一水会(1)錦心流の特色
第六章 錦心永田君と一水会(2)一水会物の始め-前編-
第六章 錦心永田君と一水会(3)一水会物の始め-後編-
第六章 錦心永田君と一水会(4)一水会大正十年の記
第六章 錦心永田君と一水会(5)錦心流弾奏家健闘の跡
第七章 永田君の所感を引きて(1)危惧に瀕しつつある琵琶界
第七章 永田君の所感を引きて(2)錦心宗家の懸念
第七章 永田君の所感を引きて(3)未来への展望
第八章 初代橘旭翁の苦心(1)女琵琶師のロマンス〜筑前琵琶誕生
第八章 初代橘旭翁の苦心(2)旭翁の見た夢と花柳界進出
第八章 初代橘旭翁の苦心(3)富士山頂の実験とお守り袋
第八章 初代橘旭翁の苦心(4)橘流装束と下賜織布の冠〜雅号由来
第八章 初代橘旭翁の苦心(5)天覧の栄誉と新版図
第八章 初代橘旭翁の苦心(6)筑前琵琶女流の世界
第九章 旭会の制定並びに現勢(1)大日本旭会の制定
第九章 旭会の制定並びに現勢(2)大阪斯界消長の記
第九章 旭会の制定並びに現勢(3)大日本旭会第四回全国大会